昨年の12月29日、ホームグランドの五島灘平島で、70センチ、4.8キロの銀ワサを手中にして最高の釣り納めとなった。
これからが大型のベストシーズンとなる1月は、悪天候が続き休日となるとシケ、中止の連続となり、やっと2月3日に今年の初釣りとなった。
当日、私はアタリ無し。しかし後輩の山口君が63センチの銀ワサを釣り上げ、他の場所でもアタリが多発し大バラシもありで、まだまだ寒ささえ我慢すれば大型の期待は大だと実感した。
2月25日(中潮)は11時30分満潮。激流走る平島のベスト潮。潮止まりが2回狙えるからだ。
前々日までは、北東の風予報で平島の最悪の風向だったが、風向が北西に変わった。10メートル程の強風だが同行者全員が『行きましょう 』とやる気満々なので予定通り決行する。
今回は、底物4名、上物4名なので私は上物3名と一緒に名乗りの南へ上礁した。ここは平島の中でも特級のポイントで私も60オーバーだけでも10数枚を仕留めている大好きなポイントだ。
早速仕掛けをセットして諫早の名産の牡蠣が入手出来たので5キロの殻を軽く割ってポイントに撒き込む。牡蠣はこの時期しか入手できないが最高のマキエ。
ヤドカリを付けて第1投、潮が右側に強く流れている。
着底すると直ぐにエサ取りがアタる。ヤドカリが瞬殺された。魚の活性が高く期待大である。
8時30分、遂にその時が来た。 仕掛けを回収するとサザエの赤身が3個残っていたのでハリスにたくし上げ、小粒のサザエを2個追加し石師魂のエサホルダーで固定する。
35メートル程投入して道糸を送らずにルアー釣りの要領で着底させる。底を探り仕掛けを立てていつものカケアガリにエサを這わせる。
風がますます強まり出した。海と平行に竿受けをセットする。仕掛けとの角度を90度に構える。
潮が少し緩み出した。最高の潮時だ!竿先に集中する。
少し竿先をふわりと押えるアタリが出た!直ぐに竿を手に取りアタリについて行くと「ドカン、ドキューン、ズシン 」と竿が舞い込んだ。
まだまだだここでアワセを入れてもスッポ抜ける。エサはサザエだと自分に言い聞かせる。
竿にテンションをかけ更に数回魚に絞り込ませてから完全に竿に乗ったところでアワセを入れた。
竿が立たない声も出ない。一瞬ノサれかけたが、どうにか体勢を持ち直し竿を立てることができた。海に引きずり込まれる程の衝撃。
竿の柔軟性に助けられ何とか耐えしのぐ。パワーは前回の70センチの比ではない。今からでも格闘の動画を誰かに撮ってもらいたいが叫ぶ余裕がない。
徐々に魚との間合いが詰まってきた。リールのカウンターは残り10メートル。しかしコイツは最後の抵抗を見せ、足元のオーバーハングに今までで渾身の馬力で突進する。
竿を絞り込む強引に両腕で耐えていると、私の異変に気づいた北島君が『大丈夫ですか?』と近づいて来た。
私は、『タモ!』とだけ小声で発して只々踏ん張りに踏ん張る。
遂に瀬ズレのサルカンが見えた。北島君がタモを持って準備しながら『なんじゃこりゃー、でででかい!』と叫んだ。私も体勢を整えて海面を覗き込むと、今まで見た事の無い巨大な魚体の銀ワサが横たわっている。一発でタモに入れ私に手渡してくれた。
ナイスコンディションの素晴らしい魚体の銀ワサ。感慨無量で言葉が出ない。「よくぞ私に、ありがとう」。
長年石鯛釣りをして来て良かった。感激の涙が出てきた。35年で初めての6キロオーバー。
こんなに感動出来る釣り!石鯛釣りは最高だ。
今回最高の金字塔を手中に出来たのもクラブ員の皆を始め、沢山の皆様のご指導ご鞭撻のお陰であり、特にお互いに切磋琢磨してきた弟の英二。いつも電話一本でエサを準備して下さる崎戸の漁師の松崎さん、山内さん。この場をかりて感謝申し上げます。
最後にいつも笑顔で送り出してくれる愛妻の美代子。ありがとう 初志貫徹 遂にやりました
(諫早石鯛クラブ会長池田武人)