釣果レポート Fild report

低水温期 わんさかのウツボをかわして貴重な1枚をゲット!

                 レポーター:森 直人
                釣り場:静岡県南伊豆 中木 大根島
               

釣行日:2023/3/22(水)

場所:南伊豆 中木 大根島

潮汐:満5:29/17:26 干11:33/23:53

釣行者:森直人(ブッコマン)

 

 

3月…。

伊豆半島の石鯛釣りにおいて2月3月は完全オフシーズンととらえる人も少なくない。私自身年がら年中石鯛釣りをしているが、正直この時期は「テクニカルな上物師達に囲まれテンポ良く竿をしならせる御仁達を尻目に、なにが悲しくて剛竿を振り回し朝から日暮れまで一度も揺れぬ穂先をジッと見つめ、意気消沈しながら夕日を背に眼精疲労で涙を流す日々を送っているのだ…。」と思っているくらいだ。いや、決して悲しくなんかないのだが…。まあとにかく年間で最も魚信の乏しい時期なのである。

くだらない前置きが長くなった。

 

時は令和5年3月22日、たまの平日休みが取れ、且つこれまた偶然その日に平日休みが取れたという釣り仲間からの連絡が入り、ならばと我が渡船ホーム(←自分が勝手にそう思っているだけ)南伊豆は中木へと出陣。

運良く天候海況共に恵まれ、中木を代表する名礁、巨大絶壁島[大根島]へ渡礁。

 

今回渡礁した中木を代表する名礁、大根島です。

矢印の所が釣り座です。

少し斜めですが足場はよく、3人は竿出し可能です。

エサはサザエがメインです。

 

やや傾斜であるが足場は良く広いので3人並んで釣りができる。

餌はサザエを2㎏程とヤドカリを10個だけ。まあ今までの経験から、この時期のここならこれの半分ほどしか使わないだろう…という予想である。

 

今回使用する仕掛けは今年から新たに導入してみたキザクラの新進気鋭石鯛ブランド‟石師魂”の[牙突石鯛]16号と、これに餌・システムに合わせて[エサホルダー][ラセンホルダー]を適宜組み合わせてみる。

 

石師魂のエサホルダー、ラセンホルダーはアピール力が高いと思うので、自信を持って釣りができます、ハリも信頼の牙突石鯛16号!

 

なぜ石師魂に目を付けたのかというと…斬新だから(笑)。いや、ホントそれだけなんですが。この奇抜なカラーと自由な発想、肝を押さえた構造、利便性、遊び心(←これ個人的に一番重要)…などなど。やはり一番目を惹くのは石師魂カラー(←自分が勝手にそう言ってるだけ)の魅惑のイエロー。

このカラーリングが石鯛の好奇心をくすぐり強烈にアピールするとかしないとか。いやむしろこの目新しさは集魚効果だけでなく「集釣人」効果も抜群なのではないだろうか。かくいう私もマッハでバイトした一尾なのだが(笑)。

 

私が得意とする三つ又サルカン仕掛け。絡み防止のラセンホルダーは重宝しています。

 

今回のシステムは私の最も得意(?)な三ツ又捨てオモリ仕掛けにラセンホルダーを装着し、チチワ部分の遊びなくし絡み防止とハリスが真っ直ぐ安定するようセッティング。古今東西最もシンプルでポピュラーなブッコミ仕掛けであろう。私はだいたいどこへ行ってもまずこの仕掛けから入り、状況に合わせて適宜遊動なり這わせなりに変化させていく。

 

第一投目は景気よくオニヤドカリにて。ここは(釣り座にもよるが)足元から水深が25~30m近くあり、一度最深部まで沈め、底を探りながら一段上のタナに仕掛けを落ち着かせる。

潮はハッキリとせず緩く微妙な感じ…。入れた瞬間の落ちパクもなく、エサ取りがつつく様子もない。これはいわゆる”ウツボ待ち”のパターンである…。

 

一通りセッティング、撮影準備も終えしばし休憩がてら談笑していると、なにやら竿先に不穏な動きが…。完全にウツボだと思い込んでいたが、一度大きく竿を押さえ込む。しかし竿先は戻り、しばらく締め込んでは戻るを繰り返す…。これはもうなにかが掛かっているのでは…?そう思いひと際大きく竿が曲がった瞬間合わせをくれる!!…が無念のすっぽ抜け…からの絶叫。

 

すっぽ抜けをやらかしてしまいました。ドンマイ!ドンマイ‼

 

いや、気にすることはない。どんなベテランだってすっぽ抜けることだってあるだろう、サルも木から落ちると言うだろう、弘法も筆の誤りと言うだろう、シーズン明けはブランクあるから勘が鈍るもんなんだ…あ、そもそもオフシーズンがねえや…とか誰も聞きたくもないような言い訳の輪廻に思考を支配される(この間現実の進行時間約2秒)。んなことどうでもいいから、はよ次入れろや…。

 

ようやく我に返りハリスを確認すると、ヤドの頭だけ取られ尻尾だけ残るという状態…。あ、怪しすぎる…これは…(超動揺)。

釣り友Iサン「何だったかね~?」

私「ええ、ワサ(イシガキの幼魚)かちょっとしたエサ取りに遊ばれたのでしょう(震える声で笑顔)」。いや決して嘘をついたわけでではない。「これは間違いなく本命ですね!」とか偉そうにフカしておいて次の一投でマダラ模様の長物が上がってきた日には面子を保つ自信がなかったからだ…許せ…。

 

とにかく気を取り直して次の一投を…。と、その前に、やはり早春のこの時期、また潮も曖昧で活性が上がりきらない状態であることを考慮し、ハリスは牙突石鯛16号を結んだオリジナルケプラー仕掛けに変更。違和感の少ないスムーズな食い込みを誘う作戦。

 

活性が低いときでも食い込みがいい自作のケプラーハリス。ハリはもちろん貫通力抜群の鋭いハリ先の石師魂牙突石鯛で、サイズは16号。

 

再びヤドカリを付けて同じタナに投入。さっきは針には掛かってなかったはず…またきてくれるだろうか…。磯に腰かけ男らしくどっしりと構える。

しかし冷めやらぬ興奮と悔恨に体がプルプル…。たいそう異様な光景であったろう…。

と、しばらくすると再び竿先に怪しい動きが!!急展開に腰が浮きカクカクしながら竿の傍へ(男らしさの欠片もない…)。

するとやはり竿が胴まで締められたと思えば再び戻るを繰り返す…。今回はじっくり待つ…存分に待つ…もう穂先が海面に突き刺さって竿がリールシートの上から絞り込まれピトンがブワンブワンヘッドバンギングして且つその状態でタバコ一本ふかし終えるまで待つ!!!…と思っていたが一向にそんな展開には至らず…。

だがこの怪しいアタリの主を仕留めたい。何度か同じような絞り込みの後、竿が胴までいった瞬間のタイミングで合わせを叩き込む!今度は乗った!!と、次の瞬間走るような引き。

これはウツボじゃない!魚だ!!(いや、ウツボも魚だが…)。

とにかく久しく忘れていたこの締め込み、突っ込み、走りを存分に楽しみながら寄せてくると…なんとユラリと灰色のシルエット…。石鯛だ(脳汁ブシャー)!!!波のタイミングを見て一気にブッコ抜く!!

 

失敗は成功のもと。今度はしっかり合わせが決まりました。

ブリ上げの瞬間!至福のときです。

磯に横たわる姿、小型ではあるが既に王者の貫禄を纏う堂々たる雄の本石。

憧れの本イシは、小型でも風格を漂わせています。石師魂のイエローマジックに間違いなく誘惑されたのだと思います(笑)

 

画像ではわかりづらいが牙突石鯛をがぶ飲みである。よほどアピール力抜群の石師魂カラー、イエローがお気に召しましたかな。

後で判ったことだがこの石鯛、かなり痩せていて(44cmで目方はたったの1.35㎏だった)、お腹の中にあったのはヤドカリの頭2つだけ。つまり最初のすっぽ抜けと同じ個体だった可能性が高い。ということは作戦(?)が功を奏した一枚といえる結果といえよう。まあこれは結果論だったとして、しかししかし個人的にはこの厳しい時期に値千金、大変嬉しい一枚であった。

 

さてホッとしたところで次なる一枚を求め早々に餌の装填準備。この個体に付いてきているかもしれない魚が連続ヒットの可能性もあるからだ。調子の良いもので、一枚釣れると次も釣れる気マンマンになってくるもので意気揚々仕掛けを投入。

が、それからまったくアタリがなくなり、たまに穂先を押さえたと思えばウツボ…。ここから数時間無限ウツボループにハマる…。

するとだいぶ陽が高くなってから、同行のIさんに塩焼きサイズのワサがヒット。私はというと探るタナどこへ入れてもウツボウツボウツボ…全層ウツボ…。

「ウツボは石鯛釣りの税金みたいなもんだ、切っても切り離せない」とはよく聞くが、あまりに無慈悲な重税になかばノイローゼになりかけながら惰性にボケ~っと穂先を眺めていると…ん?なにやら怪しい動き…。明らかにウツボののっぺりしたアタリとは違う力強く押さえつける感じ。キタか!?

そうだ、そろそろキテもいいだろう!俺は今このエリアの誰よりも高額納税者(←ウツボの)となっている自負がある!竿の傍へスタンバイ!!

すると、穂先が海面に吸い込まれ竿が胴まで絞り込まれる!!

 

ついに大アタリでやり取り開始です。これだからイシダイ釣りはやめられません。果たしてこれからの展開はどうなるのか?続きはYouTubeでお楽しみください(^^)

 

ついにキタかーーーーーー!!!???

 

と、結末は私の運営しますyoutubeチャンネル「そうずらブッコマン道」【https://www.youtube.com/@user-ms2jc2ow3y】にて!!

配信予定は…チャンネル登録のうえ気長にお待ちくださいませm(__)m

 

その後は再び無の時間が訪れタイムアップ。地元伊豆半島において最も厳しいとされる時期、このエリアも例外ではなく事前情報でも良い釣果はまったく聞かず、当日の潮も終始曖昧で決して条件は良好とは言えなかった。

そんな状況で目を見張るムーブメントが起こせたことは僥倖といえよう。本格的な乗っ込みシーズンはまだまだこれからである。釣り人とは(特に自分は)調子の良いもので、魚の顔を拝めるとまたすぐにでも釣りに行きたくなる。これを皮切りに今シーズン更に血沸き肉躍る展開となることに期待し、ホクホクと帰路についた。

 

今回私のような若輩者にこのような寄稿の機会を与えてくださったキザクラスタッフ眞﨑克久氏に心より感謝申し上げます。

(静岡県在住)