“親子鷹”という言葉があります。
辞書で調べると「父と子が共に優れた能力を持っていることを表す比喩」とあります。
底物師の中にも、20年来時折竿を並べる親子鷹と呼べる実力者がいます。
熊本の天草、鹿児島の南薩、大隅をホームグランドにする河嶋透さん、久也さん親子です。
息子の久也さんは、2020年6月16日に天草牛深、東のモト瀬で72cm5.8㎏の自己記録魚を仕留め、透さんもそれに続けと、お互いに刺激し合い釣行を重ねています。
2023年6月17日(土)も釣り仲間と3人で竿を並べました。
場所は東のモト瀬。そう、久也さんが自己記録魚を上げた瀬です。
透さんが過去のデータを見て、大潮初日に釣行計画を立てました。
とにかくこのエリアは春磯に定評があり、数、型共に大いに期待できるのです。
そしてその読みが見事に的中しました。
ご本人が手にしたのは61cm3.9㎏のデカバン銀ワサ。これまで多くの大物を仕留めてきた透さんですが、狙い澄ました一撃だっただけに喜びも格別でした。
同瀬は両潮よく、透さんは船着けに釣り座を構えました。
当日の満潮は6時43分で、干潮は13時23分(牛深)。
上礁時は潮替わりで時合いのため、釣り開始から気合いを入れて仕掛けを打ち返します。
用意したエサはガンガゼ。水温は21℃ほどでエサ取りはボチボチ。
時折素バリにされるため、本命の気配を感じながら淡々と手返しをします。
満潮時間を過ぎて潮が緩みました。
7時半頃、底潮はジワリとまだ上げ方向の右から左へ流れていました。
そのときです。カウンター26で本命っぽいアタリがあり、穂先を少し押さえ込みます。でも走りません。
数投しても進展がないのでガンガゼを3個かけて置き竿にして同ポイントでじっくり待つ作戦に出ました。
しばらくしてアタリがありまた穂先がお辞儀します。今度は深く入りいかにも走りそう。しかしあと一歩でピタッと止まりました。
でもこのケースはよくあるパターン。しかも大物ほど無邪気にスンナリ走ってはくれません。
息を殺して様子を見ます。
待つこと30秒ほど。
穂先に変化が現れ徐々に入り、かなり突っ込んだところで一気に急降下しました。
十分竿に乗ったところで合わせを入れます。
それからは力対力の真っ向勝負!
やがて魚体が浮いてきました。やった本命!
取り込みをどうしようか?と思ったとき、明らかに大物だと察知した釣友がヘルプに入り無事タモに収めてくれました。
久しぶりの大物です。大事にストリンガーに通し、ガッツポーズ!
読みが的中したこともあって、この上ない喜びに包まれました。
さて、久也さんと釣友はというと、残念ながらサッパリ。あまりにも本命の気配がないので、久也さんは山口瀬へ瀬替わりしました。
いつもお世話になっているはいや丸は5時まで釣らせてくれるので後半戦に勝負を掛けます。実際、中ノ瀬周辺は夕まずめも実績が高いため、大いに期待が膨らみます。
瀬替わり大成功!2時過ぎに何と3連発。カウンター19でガンガゼを果敢に喰ってきたのです。
牛深は久也さんがよく通う釣り場ですが、いきなりの3連チャンに改めてこの海域のポテンシャルの高さを実感しました。
港に戻り2人並んでニンマリの記念写真。
父子並んで改めて写真を撮ることは日常生活では照れもあって滅多にありませんが、釣果を持つとそんなのお構いなしで何枚でもOKです。
魚釣りっていいな、親子っていいなと思わせる永久保存版が出来上がりました。
久也さんの話では、2024年春シーズンの牛深は例年より今ひとつの釣況とのこと。それでも各磯では実績が上がっているし、ご本人も5月23日と6月12、16日は数、型共に満喫されています。
この魅惑のエリアは初夏まで一発のチャンスは十分あります。
親子鷹の今後のご活躍が大いに楽しみです。
(石師魂プロダクトディレクター/武富)