最近はYouTubeなどの動画を観てイシダイ釣りに興味を持ち、実際に始める若きルアーマンが特に増えています。磯の王者を追う独特の釣りに、とてもロマンを感じている方も多いようです。
長崎在住の金子祐哉さんもそのひとり。
2021年6月、底物初心者の釣友と青物狙いで釣行したのがハマったきっかけでした。
釣友のイシダイ竿にアタリがあったので自分もと、仕掛けを借りてルアー竿で挑みました。
すると数回舞い込みそうになったものの、ルアー竿は硬くて短いため食い込みに至らず、とても悔しい思いをしたとのこと。次こそは絶対釣ってやろうと心に誓ったそうです。
8月31日、イシダイタックルを揃えて度島の東に位置する羽島に釣友と釣行しました。この日は、初の底物、1.5㎏ほどのイシガキを手にした記念日となりました。
もちろん何もかも手探り状態で、釣り座はピトンの穴が開いている所にきめました。
手前は浅そうだったので、ちょい投げでカウンター24に仕掛けを落ち着かせました。エサはガンガゼで、付け方は動画を参考にして見様見真似で2個掛けとしました。
すると1投目からアタリがありました。でも本命なのか、エサ取りなのか分かりません。とにかく、反応のある同ポイントを攻めることにしました。
当日は干潮が8時過ぎで、下げ潮が右から左へ流れました。
数投した7時頃、置き竿にしていた穂先が、突然お辞儀をしながら舞い込んでいきました。竿を抜き合わせを入れやり取り開始です。
独特の石物の引きを受け止めながら懸命に寄せてブリ上げたのはイシガキでした。
初の石物との格闘は頭が真っ白になって記憶が飛んでいるけど、嬉しくてたまらなかったのは覚えているそうです。
「イシダイ釣りって想像以上に面白い」。
羽島の一撃は、若きルアーマンのハートをぶち抜きました。
イシダイに対する想いにいよいよ拍車が掛かりました。ボルテージが一気に上がった気持ちは、もう誰も止められません。
釣行を重ね、宮ノ浦では念願の46㎝の本イシも仕留め、同日はイシガキも手にしています。
金子さんは、とにかくルアーとは違い、アタリがきてもすぐに合わせを入れず、竿先が舞い込むのをドキドキしながら待つプロセスがとても楽しいそうです。
石物のトルクのある引き方もたまらなく、もっと大きいイシダイはどんなパワーなのか、想像しただけでも
ワクワクゾクゾクするとのこと。
もうこれはイシダイ釣り中毒です。残念ですが、この症状から抜け出すのは至難の業です。
金子さんは釣行の度、どのような仕掛けがいいのか、エサの種類、付け方、潮の流れ方、海底の状況の知り方、それに合わせた釣り方などを考えると夜も眠れないそうです。もう重症です。
冗談はこれくらいにして、金子さんの熱意がどんどん加速しているのがよく分かります。そしてきっと彼の熱は、周りの仲間たちにも伝わるでしょう。
ひと昔までは、底物釣りはいろんな意味で敷居が高い釣りだと思われていました。しかし、YouTubeなどの動画で、実は近場でも釣れるし馴染みやすい釣りだということが周知のものとなりつつあります。とても嬉しいことです。
金子さんのようなルアーマンをはじめ、多くの方々が底物釣りに興味を抱いてくれればと願うばかりです。
金子さんの現在の目標は50㎝超の本イシを釣ること。目標をクリアする日はそう遠くないでしょう。
とにもかくにも、ロマンを求める若きイシダイ師のこれからの活躍を楽しみにし、応援していきたいと思います。
渡船 進和丸
(石師魂プロダクトディレクター/武富 淳)