石師魂ブログ Ishidama blog

真夏の白い果実! 記録的な79㎝9.3㎏のクチジロ  鹿児島県南薩 秋目 釣り人/久保勝弘

2016年7月25日

小潮
満潮 10:32/23:13
干潮 4:47/16:55
8時30分頃ヒット

 

このところ次々に石師魂アイテムを使って好釣果を手にしている鹿児島の女流イシダイ師、上園歩美さん。彼女が実績を上げているのには理由があります。

 

それは師匠である久保勝弘(ティダ石鯛倶楽部)さんから学んだ多くのことを実践しているからです。
そのひとつは「潮の変わり目にチャンスあり」という教え。

 

潮の変化で魚の喰い気が変わり状況が好転することは往々にしてあります。イシダイ釣りの基本を忠実に守ることで、彼女は数々の石物を手にしてきました。

 

久保師匠の教えを実践し、このところ好釣果を上げる上園歩美さん。

2016年4月には師弟コンビで枕崎に釣行し、60㎝の本イシを頭に2枚ゲット。月刊石鯛俱楽部にレポートを書いてくださいました。

時々会食するおふたり。話題の中心はもちろんイシダイ釣りです。

 

このブログでは、上園さんが師と仰ぐイシダイ釣り歴35年で南薩をホームグランドにする久保さんにスポットを当てました。

というのも、2016年7月25日(月)にビッグクチジロ(79㎝9.3㎏)の金字塔を打ち立てたからです。南薩では記録的な釣果と言っても過言ではありません。
まさしく「潮の変わり目にチャンスあり」の言葉通りの一撃で栄光を掴みました。

 

うんざりするほど暑い2016年7月25日(月)。久保さんは灼熱地獄に負けず、ビッグクチジロ(79㎝9.3㎏)の金字塔を打ち立てました。

 

7月25日といえば、あと4日で同じ日付けです。
小潮と中潮で潮回りこそ違いますが、過去のデータはとても参考になるので、すごくワクワクします。

 

真夏でもクチジロは釣れ、もしかして本イシやアラにとっても絶好のシーズンなのかもしれません。

 

久保さんは小潮回りの25日を釣行日に決めていました。上礁を希望するA級磯の高松は急潮が走る難しい瀬。そのため比較的潮が緩い小潮を選んだのです。

 

名礁、高松。青ブダイの巣窟としても名を轟かせています。

 

上礁すると、やはり上げ潮が左から右へ勢いを増していました。オモリ15号を基本に使う久保さんにとってお手上げに近い海況でした。それでもチャンスはあると、ガンガゼを打ち返します。

 

しばらくして今度は右から左へ流れ出しました。
高松は潮切れが良すぎるため、反転流や引かれ潮が発生して複雑な流れをすることが多々あります。

それでも久保さんは諦めず、オモリ15号で手返しを続けます。軽いオモリにこだわるのは、潮流の動を把握しやすいためです。

 

激流で名高い高松。当日は久保さんも初めて体験するような複雑な動きをしていました。

 

やがて流れが変わりました。動きが緩み、ゆっくり正面から突っかけ湧き潮ような感じになりました。

 

この潮にチャンスありと、ガンガゼ2個掛けを投じます。するとすぐに素バリにされました。

 

千歳一遇の好機とばかりに小粒1個掛けで勝負します。カウンター24で着底し足元のタナで落ち着かせようと仕掛けを引いてきます。

 

するとガツンガツンとアタリます。カウンター21で落ち着かせると、ちょっと押さえました。

 

次の瞬間、スーッと入り少しテンションを掛けた途端、そのまま一気にドーンと急降下しました。

足元に40㎝ほどの段差があり、反動で転げ落ちて態勢が崩れました。竿を股にはさんで踏ん張るため天を仰ぎながらの前代未聞の恰好をしたやり取りになりました。

 

潮位が上がっているため、下半身はビショ濡れです。負けてなるものかと必死でリールを巻き大格闘していると、ボコッと浮いてきました。

 

最初に目に飛び込んできたのは、ドデカい白い歯でした。強烈なパワーの相手はクチジロだと確信しました(高松は巨大な青ブダイも果敢にアタックしてきます)。

 

そのままの姿勢で波に乗せて引き上げました。
感動と興奮で頭の中は真っ白。
しばらく充足感の余韻に浸っていたそうです。

海面に姿を現したのはビッグなホワイトマスク。久保さんは磯上に上がったクチジロを、しばらく呆然と眺めていたそうです。

 

クチジロを釣ったあと1時間ほどして、左流れの激流になり始める久保さん撮影の当日の動画です【こちらからどうぞ】

 


ビッグクチジロの剥製は、渡してくれた幸丸が営む民宿がんじん荘に所狭しと飾ってあります。
船長の話では、秋目ではナンバーワンのサイズだろうとのことです。

上塘照哉船長(黒Tシャツ)の話によると、79㎝9.3㎏のクチジロは秋目でも記録的なサイズとのこと。

 

 

とはいえ、久保さんはまさか記録物を手にする1日になるとは思ってもみませんでした。
あるのは、灼熱の1日、暑さを辛抱して竿を出せば、何かいい釣りができるかもしれない、という少しの期待感だけでした。

貴重なトロフィーは魚拓と剥製になり、久保さんにとって一生の宝物になっています。そしてこの記録は、夏磯へ果敢にチャレンジする底物師にとって大きな励みになっています。

 

そのちょっとした頑張ろうという気持ちがトロフィーへと導いたのです。一度剛竿を握ると、予想だにしない相手に出会えるのも底物釣りの魅力です。

真夏の白い果実は、炎天下の海に挑む底物師にとって希望の魚と言えるでしょう。

 

(石師魂プロダクトディレクター/武富)